グルテンフリーという言葉を耳にする機会が多くなりましたが、小麦粉がどのような理由で健康に影響があると言われているのか調べてみました。
グルテンとは
小麦粉に水を加えてこねると、小麦粉に含まれているタンパク質の2種(グルテニンとグリアジン)が結合してグルテンというタンパク質になります。
小麦粉から作られるパンの弾力性と粘着性は、グルテンによって生じる特徴のようです。
グルテンによる健康被害
小腸に疾患をもつ人の場合
小麦製品の摂取が多いアメリカでは、慢性的な小腸の炎症性疾患をもつ人(セリアック病患者)がグルテンを摂取することで、腸内が傷つき吸収が阻害される症例が見られています。これを受けて、米国食品医薬品局(FDA)は2013年からグルテンフリー表示規則を施行し、セリアック病患者などがグルテンを摂取しないように注意を呼びかけているようです。
小腸の疾患がない人
グルテンはタンパク質の一種なので、小腸でアミノ酸まで分解されて吸収されれば問題ないと思われます。ただし、うまく分解できない場合は異物と見なされて免疫が過剰に働いて害が生じるようです。小麦製品を摂取しても不調が見られない場合は、健康被害を気にしなくても良いかもしれません。
一方で、テニス選手のジョコビッチのように、グルテンフリーの食生活を取り入れてパフォーマンスが上がったという話もあります。自身の調子に影響があるか気になる人にとっては、グルテンフリー生活を試す価値はありそうです。
なお、もともとケーキなどが好きな人がグルテンフリーで快調になった場合は、グルテンよりもカロリーの過剰摂取が不調の原因だった可能性があります。
最近になって注目されるようになった理由
1940年代からアメリカで始まった「緑の革命」では、農業の生産性を上げ飢餓を減らすという目的のために穀物類を品種改良して、災害や干ばつに強い種が作られました。今食べられている小麦はこれらの品種改良を経た品種が多く、それまで食べられ続けていた品種とは異なるようです。
長い間食べられ続けている食物は安全だと考えられるので、1940年以前に普及していた品種では健康面での悪影響は見られなかったのかもしれません(推測です)。
おわりに
すべての人にとって、小麦粉(に含まれるグルテン)が健康に悪いというわけではないようです。アレルギー反応など明らかな害が出ていないのであれば、小麦製品の摂取を減らして体調が変化するか試してみる程度で良いと思います。
小麦粉ダメ絶対!ってなるとパン屋さんが潰れてしまいますし(パン食が増えて米食が減っているのも事実ですが)、パンや麺類が好きな人は自分の体調と相談して楽しい食生活を送るのが良いと思います。