抗生物質の役割と副作用について調べていたのですが、治療だけでなく家畜の成長促進剤としても使われていることを初めて知りました。

ここでは利用目的を軸に、抗生物質について学んだことを書きたいと思います。

治療を目的とした利用

日本で治療のために抗生物質が使われるようになったのは、戦後の1950年からです。それまでは結核に対する有効な治療方法がありませんでしたが、抗生物質が使われるようになってから結核による死亡率が減ったようです。

参考に、厚生労働省が公開しているグラフを示します。

結核死亡者数と死亡率(人口十万対)の推移(1938~1955年)

1950年から1953年にかけて、結核による死亡率が大きく減っています。(1950年より前から死亡率の減少傾向があるようにも見えます。これは、戦死や栄養失調などによる死亡率が増えたために、結核による死亡率が下がったのかもしれません。)

いずれにせよ、抗生物質によって多くの結核感染者が救われたことは間違いないでしょう。

成長促進を目的とした利用

治療以外に抗生物質が使われているのを初めて知りましたが、抗生物質には家畜の成長を促進する効果もあるようです

元々は感染した家畜への治療目的で使われていたと思いますが、抗生物質の投与が家畜に与える影響を調べる過程で、成長促進の効果もあることがわかりました。ただし、抗生物質そのものに成長促進作用があるというよりも、有害な細菌を駆除することで、飼料に含まれる栄養素の効率的な吸収を促進するようです。

過剰利用による懸念事項

病気の治療において抗生物質が多くの命を守ったことは確かですが、近年では必要以上に抗生物質を投与することによる弊害が懸念されています。

懸念事項1:抗生物質が効かなくなる

病原菌にとっては抗生物質に晒される機会が多くなるほど、耐性を身に着ける機会も多くなります。そのため、抗生物質を過剰に使うことにより、かえって抗生物質が効かない細菌(耐性菌)が増えてしまう可能性があります

懸念事項2:ヒトの免疫が弱くなる

また、抗生物質は特定の病原菌だけに効果があるように調剤するのが理想ですが、過剰に投与すると腸内に存在する有益な細菌も減らしてしまう可能性があります。病原菌にとっては他の細菌がいない方が繁殖しやすくなります。ヒトに自然に備わっている免疫が弱くなっているのと同じです。

もちろん、病原菌が侵入すれば白血球が攻撃します。ただし、病原菌が多すぎると攻撃が過剰になって炎症も大きくなり、アレルギー反応などに繋がる可能性もありそうです。これはむしろ免疫が強くなりすぎている状態です。

日本と諸外国の対応

耐性菌の増加を防ぐため、近年は抗生物質を治療以外の目的で過度に使用しないように、制限がかけられています。

スウェーデンでは1980年代に、欧州連合(EU)全域では2006年に、成長促進目的の利用が全面禁止になりました。

日本では成長促進目的で利用されているものの、いくつかの成分は利用が制限されています。

各国の抗生物質に対する取り組み

おわりに

耐性菌について問題視されるようになったのは比較的最近のようです。抗生物質には短期的な副作用が見られないため、症状の改善を重視しすぎると医師も患者も念のためにと処方するようになってしまいがちです。

また、開発途上国では路上で抗生物質が売られていることもあり、医師の診断を介さずに個人で服用する量を決めているそうです。

もちろん治療に必要な抗生物質は必要ですが、軽度の風邪ならヒトに備わっている自然免疫で直せるようにするのが良いのかもしれません。