通話料の必要性

LINEやSkypeでの無料通話が当たり前になりましたが、従来の電話では通話料が必要です。通話料はなぜ必要なのか考えてみます。

回線設備の比較

LINEにしろ従来の電話にしろ、発信者と受信者を回線(有線または無線)でつなぐ必要があります。そのためには様々な設備を管理しなければなりません。
スマホや固定電話の端末はすでに用意できているとして、発信者と受信者を仲介する回線設備を比較してみます。

従来の電話回線の場合

有線であればケーブルをつなぐ必要があります。ケーブルを敷設するためには、電柱や地下管路も要ります。受信者と直接つなぐわけではなく、中継する基地局が各地に置かれています。基地局には交換機が設置されており、発信者と受信者の回線を接続します。以下のリンク先にシンプルなイメージ図があります。

このような設備が全国にあると考えると、設置後の維持管理にも膨大な費用がかかるのがわかります。これらの回線をタダで利用できるわけないので、利用者は基本料金を支払います。さらに、通話料という従量課金により、利用時間が長い人は料金が高くなるのも納得できます。

ちなみに、NTTの基本料金の算定については次のリンク先に公表されています。

LINEやSkypeの場合

従来の電話回線には銅線が使われており、メタル回線と呼ばれるようです。

一方、LINEやSkypeはインターネット用の光回線(光ファイバーが使われている)を使用して通信します。使う設備がほとんど別物と思ってよいと思います。
もちろん、インターネットも大規模な設備があって成り立っているので、インターネットを利用するためにはプロバイダと契約して基本料金を支払うことになります。または、携帯での利用であれば4GやLTEなどの回線を利用するために、キャリアとの契約で利用料を支払っているはずです。

電話回線での通話料に相当するのはデータ通信料ですが、最近は定額で使い放題になっています。LINEやSkypeによる追加の従量課金は不要ですが、インターネットを使える回線はすでに契約していることが前提となりますね
(※)初期のインターネットは電話回線を使っており、基本料+従量課金でした。次のリンク先に光回線以前の接続方式が紹介されています。

通話料は必要か?

全国で通話ができる大規模なシステムを利用できるのですから、通話料は必要だと思います。電車に乗車するのに運賃を支払うことにも疑問は感じませんし。
LINEやSkypeは通話できる機能を提供しているものの、全国のインターネット回線を管理しているわけではありません。そのため、通話料を課金する必要はないということですね。インターネットがインフラとして普及しているから成り立つことであり、利用者にとってはありがたいことです。

その他の通話サービス

従来の電話回線とLINEやSkypeは比較しましたが、他の料金体系に基づく通話サービスもあります。ついでに、これらのサービスについても整理してみます。

IP電話

IP電話もLINEやSkypeと同じくインターネットの光回線を利用しています。でも通話料はかかりますね。。
LINEはSkypeは同じアプリの利用者間でしか通信できませんが、IP電話なら固定電話との通話も可能です。仕組みはインターネット回線を利用していますが、使い方は従来の電話に近いようです。また、通信料がかかるとは言っても従来の電話回線よりは一般的に安くなります。
ただ、インターネット回線に障害が起きると通話できなくなります。ネットワークの知識が乏しい場合は、少しパニクりそうですね。もちろん、その間はIP電話でサポートに問い合わせることもできません。緊急の場合は従来の電話回線で連絡を取るしかないですね。

フリーダイヤル

従来の電話回線を使うにも関わらず、通話料が無料なのがフリーダイヤルです。
正確にいうと、受信者が通話料を負担するため、発信者は無料で使えるサービスです。メーカーなどに問い合わせるとき、発信者となる消費者は気軽に使えるので便利です。契約者となる受信者にとっても、自動音声サービスなど便利なオプションを使うことができます。

ただ、基本的には発信者に対して課される料金を受信者が肩代わりするので、料金の算定は発信者の通信手段に依存するようです。携帯からフリーダイヤルに掛けられない場合があるのは、携帯はキャリアによって異なる複雑な料金体系に基づいていることも要因の1つのようです。

ちなみに、フリーダイヤルはNTTが登録商標しているサービス名です。他社でも同様のサービスがありますが、別の名称になっています(KDDIの場合はフリーコール)。

ナビダイヤル

ナビダイヤルもNTTのサービスです。フリーダイヤルと同じく自動音声サービスなどを利用できますが、発信者が通話料を負担します。メーカーなどのサポートに電話すると「ナビダイヤルにお繋ぎします。◯分につき△円の通話料がかかります。」ってなるアレです。
IP電話の連絡先が併記されていることもあります。以前B-CASにiPhoneから連絡した時に、IP電話の番号に掛けたら「◯分につき△円の通話料がかかります。」の案内を受けずに通話できました。

おわりに

もともと通話ではなくメールなどのデータ通信を目的としていたインターネット技術が発達し、従来の電話回線以外の通信手段を選べるようになりました。用途に合わせて通信料を安くできる手段を選びたいですね。通話が必要ない人はLINEで十分かもしれません。

なお、NTT東日本では、2025年までに固定電話をIP網に移行することを発表しています。固定電話の利用者が減り続けており、回線網の維持管理が大変なようです。

最後に、通信技術の移り変わりをわかりやすく図で示したサイト(個人ブログ?)を見つけたので紹介しておきます。下記リンク先の「6.動作の詳細説明」に図があります。手動交換の時代から載っています。

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